イタリア便り#12 『イタリアビューティー事情』

2021年12月23日

大好きな香水代をヘアカラー剤と液体石鹸という色気のない出費に泣く泣く回し、口紅代はしかしアイメイクとスキンケアの強化に充ててビューティー総量を堅守、そんなイタリア女性が多かった様子のコロナ禍。

 

「化ける」という漢字が入った日本語もなかなかですが、イタリア語では化粧を「TRUCCO(トゥルッコ)」と呼び、それは即ち「トリック」を意味しますので、身も蓋もありません。

 

日本人女性が、お肌をより美しく仕上げるトリックに執心する半面、隙あらば日焼けしたいイタリア人女性の多くはファンデーションを塗らず、目回りを力強く塗りつぶします。

 

以前、うちのオフィスに派遣で来てくれていた女性は、目を黒々と一周するライン幅が3ミリはあろう渾身のクレオパトラメイクで、目が合うたびに要件を忘れてしまって大変でした。

 

一方で、ここ数年で増えた、ファンデーションも濃厚なハットトリックメイクで10メートル先から顔面が浮かび上がってくる女性たちは、本気モードのインスタグラマーである模様です。

 

イタリア語では「CHIRUGIA PLASTICA(キルージア プラスティカ)」と呼ばれ、プラスチックで切り裂かれそうな整形手術ですが、そもそも「プラスチック」の語源が「形作る」を意味するギリシャ語なのだそうで、即ちまさしく「成形手術」。

 

そしてイタリアで最も要望の多いプラスティカ手術は、鼻、たるみ等の眼窩形成、胸のサイズ増減、脂肪吸引であるそうです。

 

高い鼻、大きな目、グラマラスな身体、平たい顔族にはうらやましいような要素がイタリアの人にはコンプレックスや不便を与えることもあるということだとして、隣人の鼻は高く、隣の花は赤い。

 

美の基準というのはこうして人それぞれであるわけですが、人の美しさとは総合的なものであり、かつプラスティカなもの、しかし整形手術という手段に限らず、成形自在なものではないかと私は考えています。

 

画数が多いのにシンプルな形状の「美」という文字が表すように、様々な要素が調和して快い存在を形成する、そのビューティー総量というのは、年齢とともに蓄積と更新が可能なのではなかろうかと。

 

例えば顔立ちを顔つきが、肌のハリを笑いジワが、体型を姿勢が、体力を経験値が、学歴を見識が、勢いを落ち着きが補って余りあるように。

 

イタリア語にも美女にあたるBELLA DONNA(ベッラドンナ)、美男にあたるBELL’UOMO(ベッルオーモ)という単語がありますが、BELLA PERSONA(

ベッラ ペルソーナ)、即ちビューティフルパーソンという単語の意味はニュアンスが異なり、総合的に「美しい人」を意味します。

 

これにあたるはずの日本語である「美人」が、なぜか「美女」を表してしまう点が、なんだか惜しいなあと思う、Nでした。


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