この一品と、こんな話。の第2話。

この一品と、こんな話。の第2話。

ミラノ駐在スタッフ、ニヒコがお送りするガブリエラ・ヴラドのこの一品とこんな話。

                   ガブリエラ・ヴラドのカゴバッグ

ロードバイクに挑戦中です。

RULLI(ルッリ)=ローラー台と呼ばれるマシーンに新車を取り付け、iPadの画面に映し出される世界各所のバーチャルロードを疾走するインドアトレーニングに2か月ほど励んだ後、先日、とうとうリアルロードへチャリンコデビューを果たしました。

1度目は、漕ぎ出してすぐに、夫のタイヤがパンクして帰宅。
天国にいる親戚の皆さんからの「まだやめとけ」というメッセージだと受け止めました。

2度目は、ビギナーズラック及びビギナーズハイで、乗り降りに不安は残るものの快走。

3度目は、80kmの道中、夫の言葉を借りれば「ジャガイモの袋のように」もっさりと転倒。
膝小僧を血まみれにするのは小学校以来だなと、ちょっと懐かしい気持ちになりました。

今回ご紹介する一品は、GABRIELA VLADのカゴバッグです。

ガブリエラ ブラド カゴバッグ
ガブリエラは、ルーマニアの、広義ではトランシルバニアに含まれるビホル県の出身で、その苗字も「ヴラド」。

ドラキュラ伯爵のモデルとされるあの、ヴラド3世と同じ苗字ということで、私の派手な出血と無理やり結び付けたわけではありません。

ガブリエラは、とにかく果敢な女性で、そのチャレンジングなものづくりの姿勢に、私は毎回、刺激と感銘を受けるのです。

同じデザインを繰り返さず、毎シーズン、「こんなものを作ってみたの!」と楽しそうに写真を送ってきてくれるガブリエラ。

ミステリアスな苗字に反して陽気なガブリエラが作り出すバッグは、どれも快活でポジティブなエネルギーに満ちています。

ガブリエラは、2001年から2014年にかけてミラノにて、ヴァレンティ-ノのメンズオフィス、ドルチェ&ガッバーナのマーケティング&セールス、エトロやマルニといった一流メゾンブランドに勤務して、様々な経験を積みました。

そして、シャネルのバッグを請け負う工房に通い詰めてバッグの作り方を学び、自らの名前を冠したバッグブランド、「ガブリエラ ヴラド」を2005年に発表。

ブランドを軌道にのせ、2015年からは故郷のルーマニアに戻り、広大な美しい自然の中で夫、子供たちと暮らし、新たなインスピレーションを得ながらブランドをさらに発展させてきました。

そんな彼女のコレクションの鍵となるのは、時間がゆるやかに流れるルーマニアならではの、ぬくもりのあるチャーミングなハンドニット。

ガブリエラのご近所さん達である熟練のご婦人たちが、かぎ針を自在に操って、イタリア産の色とりどりのユニークな糸をひと目ひと目、丁寧に編み上げていきます。

このカゴバッグは、そのハンドニットとイタリア産の高級レザーを掛け合わせた、ガブリエラのクリエティビティーが天才的に発揮された逸品です。

遊び心と高級感が絶妙に調和して、溌剌とした印象を与えるのにきちんと大人っぽい、春夏秋冬1年中大活躍するカゴバッグ。

春夏はもちろん、モードな光を放つメタリックヤーンで彩られたレザーのボディーカラーは、ナチュラル、またはブラックでニュートラルなので、力まずに秋冬のコーデを華やかに格上げしてくれる上級お洒落アイテムです。

ひざの真っ黒なかさぶたを眺めながら、研究熱心で好奇心旺盛なガブリエラのように、やりたいことには果敢に挑んでいこうと思う、今日この頃です。