この一品と、こんな話。の第1話。

この一品と、こんな話。の第1話。

ZAC MUSEOで取り扱っている商品をひとつずつ、関係があったりなかったりするエピソードを絡めながらご紹介するコラムの第1話はGIANNI NOTARO。

                 

    ジャンニ・ノターロのレザートート

 

ちょっと気取って、新連載的なものを始めてみました。

ZAC MUSEOで取り扱っている商品をひとつずつ、関係があったりなかったりするエピソードを絡めながら、エッセー風に紹介していこうという試みです。

第一回目は、こちらのジャンニ・ノターロのレザートート。

どうでしょう、この落ち着きはらった大人の女性そのもののたたずまい。

私は年齢的には十二分に大人なのですが、「落ち着いた大人」にあこがれ続けています。

いやむしろ、落ち着いているのであれば、子供にだって憧れます。

落着きとはエレガンス。

穏やかで静やかで涼やかで、なにしろ慌てない、そんな大人に私はなりたい。

ところでジャンニの自慢の2人の美しい娘さん達が、それはそれはエレガントなのです。

ナポリというのは、そもそも美男美女の宝庫です。

褐色の肌に深く彫り込まれた顔立ちに、漆黒の眉やまつ毛がより深い影を落として、ジャンニの協力工場で一心にコバを塗っている職人さんの美男っぷりに度肝を抜かれたこともあります。

しかし、たいていのナポリ人は、ひとたび口を開けば、身振り手振り話っぷりがダイナミックなので、私と同様、落ち着きからはちょっと遠い人が多いわけなのですが、ジャンニの娘さん達はとっても優雅なのです。あわあわしているのを見たことがない。

ふたりともちょっとシャイで、芯があるけれども控えめで、深紅の口紅も上品に映える、きっとその優美さは、ジャンニが「今でも毎日、恋に落ちたあの日のときめきがよみがえる」とぬけぬけと教えてくれた、彼女たちのお母様から受け継がれたものなのでしょう。

ジャンニが創り出すバッグの全てに、そのエレガンスは反映されていると私は思います。

ジャンニの下で、家族経営のさかんなナポリのこと、ハンサムな夫たちと共に働く彼女達(ひとりはバックオフィス、もうひとりはサンプルを作る職人さん!)の優しく華やかな笑顔を、ひときわ私に連想させてくれるのが、こちらのレザートート。

フェミニンで、上品で、しっかりと落ち着いている、実に優美な逸品だと思います。