イタリア便り#14 『イタリアコロナ疑い日記』

イタリア便り#14 『イタリアコロナ疑い日記』

11月から微熱が続き、悶々と「コロナ疑い」と対峙した年末年始の出来事です。

 11月から微熱が続き、ひたすらに引きこもる。

 1か月以上下がらないので、さすがに近所のかかりつけのお医者さんに電話。

 このご時世、完全予約制なので、とにかく電話がつながらない。

 受付の女性ではなく、硬い声のお医者さんご本人が出て不意を突かれる。

イタリアにもたまに、「愛想は良くないが、まじめで誠実」という人はいて、そういう人がお医者さんだったりすると、その逆よりはすごく良い。

 まずはPCR検査をしないと話にならん、とちょっと怒られ、メールで予約票を送ってもらい、徒歩15分の病院の「ドライブスルーPCR」を指定される。

 ドライブスルー。

 私は徒歩だ。丸腰だ。

 車と車の間に挟まれて、車気分でじりじりと進んでいくのを想像して緊張する。

 なんのことはない、長蛇の車の列を横目にずんずん進んでいくと、徒歩の人専用の小さなテントがあった。

 ほとんど人はおらず、ぶんむくれた息子に手を焼く父のアラブ系父子、彼らを心配そうに見守るご高齢のイタリア女性の後にさっくりと鼻孔に長い綿棒を突っ込んでもらい、来た道を戻れば余裕だとグーグルマップを開かずに帰路につく。

 病院の門を出た瞬間に思いっきり逆方向に突き進んだらしく、ふと気が付くと見覚えのない風景が広がっており、グーグルマップを開いて40分歩いて家に着いた。

 方向音痴の醍醐味だ。

 金曜日の夕方に受けたPCR検査の結果が翌日土曜日の夜にお役所からSMSで届き、陰性でひと安心。

 月曜の朝にわざわざお医者さんが「陰性だったねえ」と電話をくれ、ご本人に無事に対面、血液検査を言い渡される。

 年の瀬に取りに行った結果は、コロナではないがウィルス性、免疫が出来ており既に完治、という極めて紛らわしいもので、ついでに酒量減らしていることが数値に見てとれることを褒めてもらって、色々複雑だけれども万事オーライ。

 この後、クリスマスには家族や親戚と集ってプレゼント交換、友人たちと騒いで年越しパーティー、という欲求を我慢できるわけのない国民性でもって、年明けからオミクロン株がイタリアでも猛威をふるって感染者が激増

 PCR検査も混乱を極めることとなり、旧年中にワタワタと片付けておいて良かったなと思いつつ、引き続き引きこもった1月でした。