イタリア便り#16『イタリアチャリンカーへの道 その2』

ミラノから車で1時間、とある小さな街の自転車ショップで、夫が予約してくれた私のロードバイクが、赤いボディーを艶めかせて待っていました。

 

コロナの影響で多くの原料が不足している為、自転車のストックも非常に限られており、数か月待ちのモデルもあるのだそうです。

 

まずはウェアー選び。仮にもアパレルの人間ですので、おしめみたいな分厚いスポンジがついたパンツをはいても、蛍光多色使いのとんでも上着を着ても、ガッチャマンみたいなヘルメットをかぶってもノリノリです。

 

試着室から出てはポーズを決め、すっかりアスリート気分ですので、決断もスピーディー。

 

お次は、その間にペダルやボトルフォルダーを取りつけてもらった自転車の試運転です。

 

ところで、本格的なロードバイクというのは、専用シューズの底面の硬い凹凸を、ガシッとペダルにはめ込んで固定した状態で疾走するものだということを、私は知りませんでした。

しかもサドルが高く、座った状態では足が地につかない一輪車状態がデフォルトとは。

 

こうなると、自転車屋さんの敷地内での試運転が、もはや命がけです。

 

乗ってから、ペダルを回しつつ靴裏の位置を合わせてガチャンコするのですが、ペダルにも表裏があり、にも関わらず裏を向いたペダルに足をガシガシ押し付ける私を見かねた自転車屋さんが、表裏のないペダルに付け替えてくれる事態に。

 

マッサージに行って、「仰向けになって下さい」と言われて、ちょっと考えてうつぶせになってしまう感じ、あれに近いのですが、どなたか分かって下さるものでしょうか。

 

ようやっと走りだすと、今度は靴のかかとをひねってペダルから外し、ブレーキをかけつつその足を地面につけて降りるという一連の足順がもうカオス。

 

ちょっと考える間に、両足をしっかりとペダルに固定させたままぱったり真横に倒れ込む私と、そのバカを待ち受ける地面の間に、今度は自転車屋さんが身を挺してスライディング。

命がけなのは自転車屋さんなのでした。

 

満々のアスリート気分とは裏腹に、走る以前に文字通りつまずいた私の頭上には雨まじりの暗雲が立ち込めて、私のチャリンカー道やこれいかに。